ただの偶然とは思いたくないな

『オーディエンス』の台本を書いているうちに一歳ふえた。

書きながら思い出したことがある。
かつて「演劇」をテーマに演劇作品を創ったことが一回だけあったなと。
10年前の劇団公演『バラシて終わりと思うなよ』。
メンバーの工藤優太が初めてフルタ丸に参加した作品で、清水洋介とはまだ出会ってもいなかった。
解散公演を終えたある劇団が劇場でバラシ作業(舞台の片付け)をしながら、劇場を空にして出ていくまでをリアルタイム進行で描く物語。
フルタ丸が初めて下北沢の「劇」小劇場で上演させてもらった作品。
あれから10年が経って、フルタ丸はまた「演劇」をテーマに演劇作品を創ろうとしてる。
今度は、ステージで起きていた劇団の物語ではなく、観客席で起きる観客の物語。
場所は同じく「劇」小劇場。
これをただの偶然とは思いたくないな。

今、劇場が演劇を、劇団が演劇を、観客が演劇を待っている状況だと思う。
誰もが待っている。元に戻るのを待っている。
待たされていると感じるのか、それとも、待っているのか。
この違いは大きい。
ぼくらは「待っている」物語をやろうと思う。
演劇を待っている物語を。

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本多劇場グループPRESENTS『オーディエンス』

<STORY>

6月14日、日曜日、下北沢。
劇団ナップサックの本公演『魔法』を観るために、
五人の観客が「劇」小劇場に詰め掛けていた。
「もう間もなく開演いたします」というアナウンス。
しかし、待てど待てど、演劇が始まらない。
いつまで待つのか。どうして待つのか。それでも待つのか。
待ち続ける観客達の群像劇。

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本日、「オーディエンス」のチケットの発売を開始しました。
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