手紙

4月28日、ジョンが誕生日を迎えた。
12歳。
我が家では、毎年、ジョンの誕生日を忘れてしまうということが問題視されていた。
娘が「可哀想だよ!」と言い始め、今年こそは誕生日を祝うことを一週間前から言われていた。
娘はビーズで首輪に付ける輪っかみたいなものを作り、手の込んだラッピングもしている。
奥さんも娘に誘導されてサツマイモでケーキを作ることになった。
俺は何をするべきか。
結局、何も準備しないまま今日になり、事務所へ出かけようとしていたら娘が詰め寄ってきた。
「おとうはどうするの?!」
すげぇ怒っている。怒られている。娘が泣いて怒り出した。
「手紙書きます」
出てきた言葉はそれだった。
はじめてジョンに向かって手紙を書いた。
読めないだろうけど、読めるような気がしたからだ。
12年間、毎朝散歩へ行っている。明日も散歩だ。明後日も散歩だ。ずっと散歩だ。
まだまだよろしくな。