制限

最近、ベランダにハンモックを出す時がある。
キャンプ用品がこんな形で役に立つ日が来るとは。
なんてことを思っていたら、どうやらインドアキャンプが流行っているらしい。
そりゃそうか。みんな、考えることは同じだ。
娘はハンモックに寝転がってYouTubeばかり見ている。
コロナが収束したら、真っ先にキャンプへ行くと決めてる。
夜な夜な駄弁り続けるようなやつがいいな。
行きたい人に声を掛けよう。

最近、仕事関係の人から、立て続けに似たような相談を受けた。
近況を探りながらのこういう連絡は嬉しい。
何かできるのではないかと思い、考えている。
ピンチはチャンスである、とは決して気休めでもなく理にかなっている部分がある。
この場合、ピンチは制限とも置き換えられる。
制限からだいたい生まれる。


「らぶ&MUSIC」が収録放送のスタイルになった。
これまで生放送であることにこだわってきたが、こればかりは仕方ない。
今日は二週分のまとめ録り。喋りまくって声が疲れ果てる。お楽しみに。

昨日、声優の藤原啓治さんが亡くなったことをニュースで知る。
20代の頃、ラジオ構成の仕事で藤原啓治さんとご一緒させて頂いた時期があった。当時、声優さんのことがよく分かっていなかった僕に後輩が言った。「フルタさん、結論から言います。藤原啓治さんは日本の宝です」と。ラジオの収録中も、お酒の場も、何もかもがとにかく格好良くて面白くて、大ファンになった。それ以降、好きな声優さんはだれですか?と聞かれたら、藤原啓治さんと答えるようになった。またお会いしたかった。お話が聞きたかった。


往復

彩りで攻めて来るチューリップの美しさは桜を凌ぐ時がある。
このスポットは、毎年、そんなチューリップの底力を感じる場所だ。
花には感染できない。残念だったなコロナ。行け行けどんどん行けチューリップ。
娘の名前に「花」という一文字を入れて良かった。

今は打ち合わせや収録などがない限り、家と事務所の往復。
自転車で行き、パソコンに向かって、弁当を食って、自転車で帰ってくる。
対面で人と接しないと仙人みたいな生活になる。
創作は単調な生活と相性が良い。
変化やドラマチックから遠ざかれば遠ざかるほど
目の前の物語に逃げ込むようにドライブが掛かっていくというイメージ。


勇者

数日前から娘の部屋に小型テントを広げさせてもらい、一人寝ている。
夜中に目を覚ますとテントの中にいる自分を確認する。
LEDランタンがまぶしくて寝不足だ。
すでに非日常の毎日を生きているのに、
さらに非日常に身をおいて自分を混乱させているのか。
逆の逆が表になってくれと無意識に祈っているのか。

仕事の合間にドラゴンクエスト11を始めた。
3年前に買ったまま一度もやっていないやつを見つけたからだ。
自分はゲームに向いてない。性格が全く向いてない。
しかし、思い切って旅に出てみた。
相変わらずモンスターを倒すのが面倒くさくて仕方がない。
村人との会話を楽しめない。そもそも何を言っているのか要領を得ない。
もうこれだけでも向いてないことが分かる。
こんな感じなので放棄したくなるのだが、勇者の名前をジュンにしてしまっているので責任がある。

「この世界を救えるのか?」

いま、ドラゴンクエストが突きつけて来るこの問いかけの意味はあまりにも大きい。
時間はかかるかもしれないが、なんとかするよ。


赤鉛筆

数年前から北星鉛筆が出している大人の鉛筆シリーズを使っている。
赤色の芯があることを知って手に入れた。
書き心地含めて素晴らしく、赤鉛筆の歴史が塗り替えられた。
これ以上の進歩はないだろうと勝手に決めつけて生きていた自分が恥ずかしい。
書いた物語の台本は人に渡す前に必ずプリントアウトして、自分で赤を入れる。
これをアナログでやるようにしている。もうクセみたいなものだ。
自分で自分に対して非情になったり、褒め称えたり。
そういうのに使わせて頂きます。


珍妙

娘から珍妙なイチゴ飴ができたというのでもらった。
見た目は艶やかで美味そうだが、
噛んだら最後、その歯を根こそぎどこかへ持っていかれるんじゃないかと思った。
手製の飴は怖い。勉強になった。

確かに家で楽しめるものは増えたけど、
「いつでも楽しめるもの」を「今、楽しみたいのだ」という気持ちとリンクしない。
こうなってくると永遠にすれ違いだ。
この構造にカウンターパンチを食らわせたい。
選択肢の多さが決して豊かさでもない。
点で刺さってくるものと事故的に出会いたい。


桜と更地

事務所の近くに大きな屋敷があった。
たいそう立派で、現存している家屋としても価値がありそうに見えた。
そんな家が少し前に壊されて更地になった。
張り紙で、ここに駐車場ができるとのアナウンス。
それからしばらくの間、何も工事されない時間が流れた。
敷地内の隅に一本だけ立派な桜の木が生かされたまま。
おそらく家の歴史を見守ってきたであろう桜に思える。
開花になり、見事に咲き誇った。行きかう人は写真を撮っていた。
そして、散った。
桜の木は倒され、更地にアスファルトが流し込まれた。
僕には、桜が散るまで工事を止めて、待っていたようにしか思えなかった。
聞いたわけではないので、これは僕の想像でしかない。
しかし、そう思えた時、妙に救われた。
おいおい、人間っていいもんだなと思えた。
想像でしかないのだけど。
イマジンは際限なく自由であり、それまで失いたくない。


劇場

緊急事態宣言の裏で読んだ、
本多グループの言葉には
http://www.honda-geki.com/
胸が締め付けられた。

演劇は劇場で、そこにいる役者、スタッフ、お客さんが一つの嘘を信じる、その嘘を共有することで成り立つ。
自分もその端くれとして活動している。
魅力的な嘘は生きる活力を与える。
下北沢に、劇場に演劇を取り戻すにはどうしたらいいのか。
劇場、役者、スタッフ、お客さん。
この輪を取り戻さないといけない。どれが欠けてもいけない。考えよう。

フルタ、山田伊久磨、清水洋介による「FURUTAMARU.会議」もすでにリモート化している。
こんな感じだ。
逆に効率良いなとさえ思い始めてる。
雑談と本題のバランスが取り易い。
現在の話と未来の話を交互にしている。
何もあきらめてない。


直し

数日が経ってしまったが、2004年から始まったラジオ番組「らぶ&MUSIC」が4月から時間帯が変わった。
16年前、番組が始まった当初は金曜日21時から。それが土曜日18時からになり、一時間繰上って17時からになり、そして先週から16時からになった。3回目の引っ越しだ。こんなに時間帯がコロコロ変わる番組、レディオ湘南の中でも珍しいんじゃないか。番組の中身も時間に合わせてなのか少しずつ変えて来た。昔はもっと無軌道なことをやってた。FMなのに1時間番組で1曲しか掛からない番組として物議をかもしていた。また、僕も神田さんもそれをなんとも思っていなかった。当時はトガっていた。本当にこんなに長くやらせて頂けるとは思っていなかったので、僕らもさすがにそのありがたさに気づいてます。毎週定時の時間が変わると、身体と脳みそが認識するまでに時間がかかる。遅刻する日が来ないことを祈るのみ。

本当は来週が本番だった、ひらフル「芸人温泉」。
延期が決まり、振替公演は7月24日~26日となったのだけど、そこに向けて4月から先んじてやる稽古するプランもあったが、それも延期となった。
昨日、事務所に籠り、台本の直しを終えた。
台本は手を入れ続けようと思えば永遠にできるものだし、稽古再開までもかなり時間がある。
でも、コメディの持つ身軽さみたいなものは、書く体感のスピード感がそのまま乗ると思ってるので、じっくりどっしり時間を掛け過ぎて向き合うとどこか重くなる。カラっとさせておく部分が大事。とりわけ、ひらフルの作風はそうありたい。
そんな日に、漫才台本を担当して下さっている中村元樹さんからも台本が届いた。
出演者に送ったので、皆さんと会える日を待ちながら演出プラン考える。


スタンダップコメディーのゆくえ

去年、ニューヨークに行った時。
滞在最後の夜、スタンダップのコメディークラブに行った。

ウディ・アレンがスタンダップコメディアンとして世の中に出て来たことを知ってから、アメリカのスタンダップコメディー事情に興味を持ちなんとなく分かったつもりでいたが、ライブ会場で見たのは初めて。

本場ではこんなふうにやってんのかという発見と共に
日本のスタンダップも負けてないなと感じた。

演出で関わって来たスタンダップコメディーライブ「おはようインコさんシリーズ」。
昨年の本多劇場で「その5」を上演した後、予定していた今年の羽田空港でのライブ「その6」が延期になった。

昨今の状況に端を発し、エンタメの届け方も変わり始めていくのかもしれない。
クリエイターが何もしないという選択は苦痛。お金、収益うんぬん以上の苦痛があると思う。
何かを生み出したい、パフォーマンスをしたい、そういった表現欲をどうしていくべきか。

インコさんの配信ライブをやることにした。
チケットサービスzaikoの配信プランを利用してやってみることに。

配信ライブ「おはようインコさん その5.5」
日時は5月24日(日)16時~17時

自宅にいる方は、テレビに映して楽しめる。

予約・詳細はコチラ
https://inkosan.zaiko.io/_item/325447

※チケットの購入・閲覧にはzaikoのアカウントが必要

この機会に、新たな形の届け方に挑戦してみます。
ご自宅で気軽にお楽しみください。

それともう一つ。
日本スタンダップコメディ協会の4月1日の紀伊國屋ホール公演も中止になった。
出演予定だった協会員、清水宏さん、ぜんじろうさん、ラサール石井さん、インコさん。
4人から取れたてのメッセージ動画が公開されました。

この熱を、日本製スタンダップコメディの熱を絶やさぬように。